【3195日目】書評『うちの娘はAV女優です』(アケミン:幻冬舎)

 

『うちの娘はAV女優です』(アケミン・幻冬舎)、ご恵贈頂きました。早速書評を書かせて頂きます。

 

「親公認AV女優」10人のインタビューが掲載された内容です。

 

帯には「AV女優は、親も応援する普通の職業になったのだ。」と書いてありますが、

実際にインタビューを読んでみると「公認」というよりは

「限りなく否認に近い容認」のような例が多く、唖然とされたり絶縁されたりと親と揉めに揉めた結果、

紆余曲折を経てどうにか同意を取り付けられた、という人が大半。

 

その意味では、昔ながらの親子関係とそれに基づく葛藤を中心に描いた内容なので、

タイトルと帯から想像される内容とはちょっとズレがある感じですが、

AV女優に限らず、世間一般で市民権を得られていない

職業に就こうとしている人、あるいは親の望まない職業に就こうとしている人たちと

その親の間では、本書にあるような親子間のバトル&ドラマが展開されているはず。

 

そう考えると、AV女優もある意味では「普通の職業」なのかなと思いました。

 

また「親公認」とありますが、ほとんどの事例では母親との葛藤やバトルが中心で、

父親が出てこない(そもそも離婚やDVの結果として不在)ところも印象的でした。

 

実の娘がAV女優になる、というのは一般的に考えれば

父親にとって天地を揺るがす大事件な訳ですが、その割には

父親の出番や語りが圧倒的に少ない。

 

この辺りに、現代の家族問題や社会のジェンダーバイアスが

反映されているような気もします。

ぜひ次回作は「裸になった娘とその父親たち」でお願いします。

 

他に印象に残ったのは「AV女優として売れるためには、親公認であることがもはや必須」という点。

 

長く職業として続けていくことを考えれば確かにそうだと思うのですが、

「親公認」が必須条件になると、AV女優になるため&売れるためのハードルが思いっきり上がってしまう気が。

 

こうした風潮が進んでいけば、AVから家族の公認が不要な風俗に人材が流れていくのかもしれませんね。

 

また事務所の人たちが女性の親をどうにか説得するために

オブラートに包んだ言葉を連発する場面も面白かったです。

「アダルトなイメージDVD」「絡みといってもVシネ程度」などなど。

 

AV業界の人は、世間に近い立場や職域の人であればあるほど、

「AV」「AV女優」という言葉を極力使いたがらないし、

風俗業界の人も「風俗」「風俗嬢」という言葉を極力使いたがらないですよね。

 

AV業界に限らず性産業全般に言えることですが、当事者や関係者全員が

オブラートに包んだ発言しかしない(できない)世界であり、

かつそれが一応全員の利益になっている。

 

しかし、一歩間違えれば今年世間を騒がせた出演強要問題みたいな事件につながるわけなので、

オブラートも必要だと思いますが、オブラートに包んではいけない場面や契約、

そしてオブラートに包まずに発言できる人材はきちんと確保すべきだと思いました。

 

来年の1月12日(木)には書店に並ぶそうなので、気になった方はぜひ書店でチェックされてみてください!

 

*********************************
一般社団法人ホワイトハンズ 
 
代表理事 坂爪真吾(さかつめ・しんご)
 
私たちは、「新しい性の公共」をつくります。
 
HP:http://www.whitehands.jp/
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『セックスと障害者』(イースト新書)、4月10日発売!

『性風俗のいびつな現場』(ちくま新書)、1月6日発売!

★ホワイトハンズ:2016年〜2017年のイベント予定

 

■1月13日(金)「子どもに誰が・いつ・どう性を伝えるか」トークショー 

 

■2月4日(土) 如月まるっと一日研修@ウィルあいち(愛知性教協)

 

■2月5日(日) ららあーと@東京

 

■3月5日(日) セックスワーク・サミット2017「JKビジネスの逆襲」

 

■4月29日(土) 風俗福祉基礎研修2017@渋谷

 

■6月4日(日) 「障がい者の性」基礎研修2017@渋谷


コメント
 坂爪さん、いつも社会をより良いものにしていく活動ご苦労様です。

 本当なら、もっと早く、言うならば20年以上前にはこういう本が出ていてほしかったです。1992年にはAV女優の飯島愛さんがTバッククイーンとして大人気でした。子供の頃、初めて(こんな人がお嫁さんだったら良いな)と思った女性でした。子供の頃の僕は、(こんなにきれいでセクシーな愛ちゃん、きっとご両親からしても自慢の娘さんなんだろうな)って思っていました。

 ただ悲しいかな、飯島愛さんはご両親とは折り合いが悪かったことが悔やまれます。社会現象と言っても過言ではないTバック愛ちゃんブームの頃に、ご両親が飯島愛さんの活躍を認めてあげていたなら、潮流は変わっていたのかも知れないです。

 その後も瞳リョウさん、憂木瞳さんなど、素敵な女優さんが何人も出てきましたが親公認の女優さんなんて居なかったものと思われます。飯島愛さんがパイオニアとなり、AV女優と普通のタレントの壁は壊されたはずじゃなかったのか、ともどかしさを感じてました。

 そして2017年になり、親公認のAV女優も増えて、『うちの娘はAV女優です』がついに出る時代になったのは本当によかったと思います。いつかAV女優も普通のアイドルやモデルやタレントと同様の職業となり、いつか小学生のなりたい職業のひとつになれば良いな、と小学生のときAV女優・飯島愛さんに胸をときめかせていた僕は思います。

 将来、大人気AV女優だった美竹涼子さんや川奈まり子さんなどの子供さんたちを取材した、『私の母は人気AV女優でした』なんて本が出せる世の中になってほしいものです。

 長文・乱文失礼致しました。
  • 北海道のトラファン
  • 2018/01/23 4:50 PM
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