【2648日目】書評『ネット風俗嬢』(中山美里:リンダパブリッシャーズ)



「風」でも「水」でもない「電」の世界=ライブチャットの世界を多角的に取材した中山美里さんのルポです。なかなか日の当たることのない世界に切り込んだ貴重な参考文献。

歴史の部分では、ダイヤルQ2からテレクラやインターネット、出会い系やライブチャットが派生していったという点が非常に面白かったです。

課金システムから料金の回収方法、運営ノウハウまで、いわゆる無店舗のメディア型風俗の基礎を作ったのは完全にダイヤルQ2世代の人たちだったと。

先日の東京五輪サミットでの寺谷さんのお話にもありましたが、実はダイヤルQ2の時代に、メディア型風俗を運営するための「文法」は、ほとんどできあがっていたのでは。

現在の様々なメディア型風俗、及び一見風俗とは無縁に思えるソーシャルゲームのコンプガチャも、実態はダイヤルQ2の焼き直しに過ぎないのかもしれません。

ライブチャット事業も、デリヘルと同様に広告費がかさむ。広告費や求人費の負担に耐え切れず潰れてしまったり、情報商材としてシステムを売る側に回ってしまったりと、実は事業者自体が「カモ」になるという風俗業界のお約束的な構造も。

「サクラはお客さんのためにあるもの」という発言、登録女性の大多数がサクラだったことが判明したアシュレイ・マディソンの事件と重ね合わせると、何とも言えない気分になりますね。


アダルトチャットは、風俗やキャバクラで働けない&働きたくない女性、風俗やキャバクラで楽しめない男性のための受け皿になっている側面があるということですが、風俗の世界で起こる業種や業態の「細分化」及び「受け皿化」って、男性にとっても女性にとっても、長いスパンで見れば、あまり良い結果を生まないような気がします。「インターネットは貧乏神」という言葉もありますしね。

風俗の世界は、放っておけば際限なくメディア化と細分化が進むと思うのですが、それらが進めば進むほど、実態が見えにくくなるし、需要と供給のマッチングが難しくなる。そして何より、稼げなくなる。

実態が不可視化されてマッチングが困難になり、稼ぎも悪くなれば、女衒的なスカウトの跋扈や、違法配信・流出などのリスキーな出来事が蔓延するようになる。

今後、アダルトチャットも進化していって、ホワイトとグレーの境界、日常と非日常の境界、素人と玄人の境界が曖昧になる「ボーダーレス化」が更に進展していくと思うのですが、それに伴って発生する社会的リスクに対処するための策は、何らかの形で講じられるべきかと。

そのためのヒントは、冒頭のダイヤルQ2世代にあるような気がするので、私ももう一度勉強し直してみようかなと思いました。

なかなかまとまった論考が出されることのないライト風俗、亜風俗の世界を垣間見れる良書なので、興味のある方はぜひチェックされてみてください。中山さんの「なりきりチャットレディ」のビフォー&アフター写真も必見です(笑)。

 

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一般社団法人ホワイトハンズ 
 
代表理事 坂爪真吾(さかつめ・しんご)
 
私たちは、「新しい性の公共」をつくります。
 
新刊『はじめての不倫学』(光文社新書)、8月18日発売!

★ホワイトハンズ:2015年のイベント予定

 

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